
ジャズは単なる音楽ではなく文化であり、教養なのである
こんにちは、コウダイです。5月も終わりにさしかかり、夏の匂いと梅雨の気配を感じ始めれば、いよいよやってくる夏のイベントの準備に忙しくなってきます。果たして今年の夏の花火大会や夏祭りは開催されるのでしょうか?
日本には夏が来る前の梅雨の時期がある関係から、どうしてもイベント等が開催されるのが7月以降に集まりがちなのですが、所違えば季節も変わり、欧州や北米の6月は晴天に恵まれる事が多く、1日で日が最も長くなる夏至を中心に6月、7月を”Summer”と言います。もちろん、南欧の国やLAやフロリダなどでは8月でも最高の夏を味わえるのでしょうが、実際に夏至を境に日は短くなっていくわけですし、北欧や北米のカナダやアメリカ北部の州は8月は下旬になれば、少しずつ夜に冷える日が続くようになってきます。
そして、もうひとつ6月〜7月が”Summer”であると感じられるのが、主たる教育機関の「夏休み」が6月、7月、8月にまたがって存在するからでもあります。しかし、8月は後半にもなれば学校登校日が存在したり、新しい学年の始まりである9月からは新生活の準備が忙しく、新入生は8月下旬よりオリエンテーションが集中していたりする事も珍しくありません。
つまり、欧米の9月から始まる新学年とは、事実上8月後半から開始している事となり、夏休みモードは8月前半まででフェードアウトしていくという事でもあります。
日本では7月末から夏休みが始まったばかりであり、大学生に至っては9月半ばまで続く学校も多々あります。8月半ばといえば、お盆があり、やっと休みの折り返し地点であるというのですが、カナダやアメリカ北部の留学生活では、お盆が終わったらいよいよ学校開始が目前になり、「学習モード」へ切り替える時期に入ります。
そこで、やっと本題である6月とは、まさに夏休みの開始時期であり、夏の入口です。梅雨がない国では各地でイベントやフェスティバルが始まるのが6月からであり、脱マスク化が進む海外では、今年の夏のイベントは観光客商戦も始まり、どこの地域もヤル気満々です。
中でも規模が大きく、個人的にも大好きな一体型イベントである、Vancouver Jazz Festivalは参加しやすさ等も含め至高のボランティアでだと思います。今風に言えば、「コスパ」と「タイパ」が良いとでも言うのでしょうかもしれませんが、「お得感」はもちろんの事、リラックスした西海岸の都市ボランティアでの一体感や参加型イベントの醍醐味で味わえる感覚は唯一無二であり、長い人生の間において体験して全く損のない、大きなチャレンジでもあります。
大型イベントボランティアは少々緊張しますが、丁度6月に行われるジャズフェスには、夏休みに入ったばかりの高校生や新しく大学やカレッジに進学するティーンエージャーもいるかと思えば、リタイアした70過ぎであろうシニアも皆楽しく参加しているのが印象的で、友人を誘って参加出来る為、留学生の参加者も沢山います。
私が始めて、Vancouver Jazz Festivalのボランティアに参加したのは、語学学校の日本人カウンセラーの仕事をしていた時に、バンドをやっていた音楽好きの同僚の先生に誘ってもらったのがきっかけでして、彼曰く、「裏方の仕事をしろ!」との事でした。そうすれば、「当日本番のJazz Festivalの日は自分もイベントに参加できるから」だそう。
もちろん、事前に「舞台裏」を見る事が出来るので面白いですし、昼間や営業時間外に搬入するライブハウスやシアター、時にはナイトクラブ等の「ハコ見学」は非常に興味深く、建物の外観からは想像が出来ない世界が広がっています。
それからというもの、私もタイミングさえあれば、Jazz Festivalのボランティアを積極的に参加するようになり、ジャズフェスTシャツを始めとした特典を楽しんでいます。何よりも私の場合は留学エージェントである立場上、こういったボランティアを実際に参加する事で、留学生の皆様にも情報提供が出来るようになったり、実際に紹介する事が出来るようになります。
今年はまだ参加ゲスト入りは発表されていなようですが、Vancouver Jazz Festivalには定期的にHiromi Uehara氏も来ており、圧倒的な世界レベルのパフォーマンスを感じさせてくれます。
普段からJazzを聞かない人も、生で見るライブの迫力とジャズの自由な感覚は良い刺激になるはずですし、何よりも日頃からJAZZを聞く、自分にとっての良い理由付けがで出来ます。Jazzフェスに向けてJazzを聞きながら勉強や仕事に励む日々も悪くないですよね。
アメリカの大学で良く聞く、【リベラルアーツ】が意味する、一般教養とは、社会科学、自然科学、数学、哲学、宗教学、芸術学全般を指すと定義されています。ローマ時代において「知識」は自由をもたらす為のツールであると考えられ、挙げられた学問は即座に役立つものではなく、精神を深め、人生をより意義深くする観点から主張されているものです。
つまり、暗記をして覚えれば良いものやテストで点数を図るものでなく、多くの人や人種、考え方や宗教的背景を持つ人たちと議論の末に、自分なりの答えを導きだすものが、「一般教養」であります。
例えばテーブルマナー等も「一般教養」のひとつで、スープをすすって飲んではいけない等も挙げられますが、ルールを「暗記」するだけでなく、やはり「何故すすって飲んでいけないのか?」などを根本的に考えて、自分なりの答えを持つ事が「一般教養」のあり方です。
何を聞かれても「意見のない人」と、何に対して興味を持ち「意見や好奇心のある人」の違いは、これら一般教養への理解度にも繋がります。
改めて、何となく分かるけど聞き慣れない音楽ジャンル、Jazzという音楽を聞く事は「芸術学」を学ぶ事であり、そこをきっかけに「社会科学」「自然科学」「哲学」「宗教学」などが複雑に重なり会っている事を感じるはずです。
Jazzという音楽とその周りの舞台、それを支えるボランティアの存在やイベント開催においての環境への取組、そこに集まる多種多様な人種とも共存や宗教的影響力の存在やその巨大なエネルギー等、全ての学問が一同に集まるEducational なEventこそ、こういった総合的な音楽フェスティバルの存在意義ですよね。
ボランティアに関わっても「お金は儲からない」と思うかもしれませんし、確かにその通りかもしれません。しかし、「お金さえ儲かれば」一般教養や品格は必要ないのでしょうか?
そもそも、国際舞台に出れば出る程、社会的立場があがればあがる程、表面だけでなく中身が問われる世界です。その時に現れたチャンスを無駄にしないように、今からしっかりと多くの経験を通して、精神的な豊かさを得るのも、「留学」の醍醐味です。
英語はただのツールであり、留学とは「英語」を学びに行くのではなく、「世界の一般教養」や「グローバルスタンダード」を学ぶ行為であるという事を「留学」の大きな側面として考える必要があります。
そして、それらの「世界の一般教養」は「世界の非常識又はガラパゴスアイランド」と揶揄される日本人から受け入れがたい事も多く、ちょっとやそっとでマスター出来るものではありません。しかし、その文化や考え方、哲学や思想を理解する事によって、「英語」の真意というものが理解できる事です。
ジャズとは一般教養である。だったら、その文化を体験する事こそが「留学」です。バンクーバーはもちろん、各留学先で行われるJazz Festivalのボランティアに登録してみましょう。
そして、その時ばかりはJazzを毎日聞いて気分を高めましょう。
初心者であれば、まずはMiles DavisやBill Evansを、Hiromi UeharaやAmy Winehouse, Erykabadu等など広く深く、自由なスタイルこそがJazzであり、まるで多国籍文化で形成されるカナダそのものを感じさせてくれるものだと思います。
今年の夏は、是非Jazz三昧の日々を。